これからいい季節になってきますね。いよいよバイクシーズン到来です。
桜を追いかけてツーリング、なんてのもいいですね。羨ましい限りです。
でも、いきなり走り出して、大丈夫ですか?
今回は、そんなバイクの冬眠から呼び起こすため、最低限やっておきたい軽整備と、それに必要な工具たちを紹介したいと思います。
軽整備とはいえ、自分の手でメンテナンスする訳ですから、自己責任において作業してください。少しでも作業に自身のない部分や、重要保安部品周り(特にブレーキなど)は、ショップにメンテナンスを依頼することをお勧めします。
燃料、入ってますか?
最近発売されたバイクの場合、よほど保管状態が悪くない限り、ガソリンタンクに水が浸入する、という事象はあまり見受けられません。しかし、タンク内は当然ながら空気が入っていますので、外気温が下がると場合によっては、ガソリンタンク内で結露してしまう事もあるそうです。
結露がたまるとタンクの底に水滴がたまり、始動困難の原因となりますので、キャブレター車の場合は、フロート室の下にあるドレンを緩めて、中の古いガソリンを捨ててください。タンクのコックに「プライマリ(PRI)」がある場合は、これに合わせて数秒、ドレンを緩めてください。
これだけで随分、始動性は向上します。
並列四気筒(XJRやCB400SFなど)の場合、内側の二つのドレンにアクセスしづらいこともありますので、少し柄の長いドライバーをお勧めします。
KTCのソフトグリップは滑らなくて凄くイイですよ~。スナップオンは皇室樹脂のグリップで、少し滑る時がありますが、とても手になじみます。一度使ったら病みつきになりますね!
タイヤの空気、入ってますか?
久しぶりにバイクを押し歩きしてみたら、やたらに重い!なんてこと、よくありますね。
ハンドル、こんなに重かったっけ?冬の間に体がなまったかな?いいえ、決してそういう訳ではありません。
これ、ほとんどがタイヤの空気圧不足が原因です。燃料補給のついでに、タイヤの空気圧もチェックしましょう!その際、タイヤのひび割れや、スリップサインのチェックも忘れずに。タイヤのサイドにひび割れが深く発生している場合、危険ですので即、交換してください!
エーモンのペン型のゲージは、出先でのチェックにはもってこいです。コンプレッサーをお持ちの方は、エアガン式のものが便利ですね。出先では使えませんが、出発前にチェックし、加圧、減圧思いのままですよ!
チェーン、錆びてませんか?
バイクは屋外で駐輪されている方も多いと思います。車体カバーなど、きっちりとされている方は、そうでもないのでしょうが、カバー類をされていない方は、一度チェーンの事も思い出してあげてください。
冬の間の雨や雪で、チェーンの油分はすっかり落とされてしまっています。油膜の切れたチェーンは、すぐに錆びてしまいます。
錆びたチェーンはスプロケットの偏摩耗を起こしたり、最悪切れてしまい、エンジンの腰下を割ってしまう、という事象も起こり得ます。
一番いいのはチェーンの清掃、給油を行うことですが、時間がない場合などは、浸透性の高いチェーンルブを吹き付けておきましょう。この場合、帰宅後のチェーンのメンテナンスは必須です。
RKエキセルのクリーナーとルブのセットは定番の逸品ですね。もはや説明不要ですが、パーツクリーナー系の速乾性の洗浄剤と、ごく普通のチェーンルブです。ホワイトのねっとりしたタイプで、吹き付けすぎるとリア周りの飛び散ってしまいますのでご注意を。
モータウンのチェーンデグリーザーは、液体洗浄剤です。割と使いやすいのですが、最後に水で洗い流さないといけません。しかし、古いチェーンルブがよく落ちるので、愛用しています。
ワコーズのルブは新製品。浸透性ということで、ちょっと試してみたい逸品です。
まさか、バッテリー上がっていませんか?
冬はバッテリーに厳しい季節です。近年のバイクは電子機器が多く、イモビライザーなども付いているので、常にバッテリーに負荷がかかっています。
さらに、バッテリーは自己放電します。ですので、冬の間、全く乗らない、もしくは乗っても短距離であったりする場合、負荷に対して供給が間に合っていないため、バッテリーに追い打ちをかけてしまい、次に乗る頃にはバッテリー上がりとなってしまいます。
放電したバッテリーは交換、もしくは充電で対応しましょう。最近のバイクはMFタイプのバッテリーですので、開放式とは違い、電解水の追加や充電時にキャップを開けるといった事は必要ありません。
メルテックのものは一般的なバッテリー充電器ですね。MFも、開放型も使えます。操作もシンプルでわかりやすいので、一台持っておくと便利です。
オプティメートは、バッテリーに専用の端子を取り付けておき、そこへ繋いで、家庭用コンセントからバッテリーを充電、管理する機能が搭載されています。難点はマンションでは使えない事・・・
SHORAIバッテリーは近年流通しだした、リチウム系バッテリーで、今までの鉛バッテリーに比べ、圧倒的な軽さを誇ります。自己放電量も僅かなので、冬のバッテリー上がりに泣かされた私のR1には、これと同じリチウム系の、アンチグラビティ社のバッテリーを搭載していました。このあたりのインプレは、また別の機会に紹介したいと思います。
他にも点検するべきは沢山ありますが・・・
灯火類、ちゃんと点いてますか?テールランプはちゃんとブレーキ掛けて、点灯するか確認してくださいね。
可動部分のグリスアップは十分ですか?クラッチワイヤー等はグリス切れを起こすと、すぐに切れてしまいますよ!動作させて、ゴリゴリ感があれば、清掃、グリスアップしましょう!
ワイヤーインジェクターがあれば、ワイヤーの給油は簡単ですよ!
今回のまとめ
251cc以上のバイクは車検がありますので、車検毎にでも、メンテナンスの機会があるのに対し、250cc以下は、車検が無いので乗りっぱなしの状態になってしまいがちです。
古臭い言い回しですが、「ネンオシャチエブクトウバシメ」で、車体を点検しましょう!
- 「ネン」・・・燃料 ガソリンは入ってますか?
- 「オ」・・・オイル 量、汚れは問題ありませんか?
- 「シャ」・・・車輪(タイヤ) スリップサインは出ていませんか?亀裂はありませんか?
- 「チエ」・・・チェーン 給油状態、張り具合は適当ですか?
- 「ブ」・・・ブレーキ ちゃんと効きますか?パッドの残量は十分ですか?
- 「ク」・・・クラッチ 動作状態は問題ありませんか?ワイヤーの遊びは適当ですか?
- 「トウ」・・・灯火類 ヘッドライト、テールライト、ウインカー、ちゃんと点灯しますか?
- 「バ」・・・バッテリー 開放型は電解液の残量は十分ですか?電圧は十分ですか?
- 「シメ」・・・増し締め 各部の緩みはありませんか?
ほとんど工具を紹介してませんね。調整程度の作業であれば、車載の工具セットでも大丈夫ですので、チャレンジしてみてください。
その際は、経験者と共に作業するようにしてくださいね。分解したはいいが、組み立てられない、組み方が間違っているなど、取り返しがつかなくなりますので。
思い切って、工具セットを購入するのもいいかと思いますが、先ずはドライバーのセットと、コンビネーションレンチのセットから始めてみては如何でしょうか。
しっかりとしたメンテを行い、いいバイクシーズンをお迎えください。